「新約聖書イントロ」は当NiBS（日本語BibleStudy.com）のシリーズです。Eugene Peterson 先生のThe Messageに書かれている先生の聖書の各本のイントロを毎月最初に一つづつ紹介していきます。聖書を読んでみたい、でも一体この本に何が書いてあるの？と思ったことはありませんか？そんな問いかけへの答えに少しでもお役に立てれば幸いです。紹介する順番は実際の新約聖書の並び方とは異なります。日本語訳は筆者の拙訳です。英語のオリジナルはブログ下段に掲載させていただきました。
誰でもイエスの生涯、彼の教え、十字架での死、そして復活という本当のストーリーを初めから終わりまで聞いたなら、イエスを取るに足らない人物と決めつけて、軽くあしらい、立ち去って行くことなど到底出来ないのです。イエスについてのストーリーを知らなかったり、誤った情報を知らされていたりするなら、イエスを無意味と片付けられることはよくあるでしょう。しかし、ごく少数の例外を除いては、人々は分からないなりにも直感的に、彼らが何か目を見張るような偉大な何かに関わっているのだ、と知っているのです。
ところが、イエスを重要人物だと考える人たちですら、イエスと一緒に、ブッダ、モーセ、ソクラテス、モハメッド、など歴史上の重要人物や自分のお気に入りの人物を一括りにして考えているように見受けられることがよくあります。彼らは、イエスは確かに重要人物ではあるが、中心人物であるとは考えないのです。名声は確かに馳せている、だが、第一人者だ、とは考えないのです。
コロサイの町に住むクリスチャンたちは、少なくともある者達は、こんなふうに考えていたようです。彼らにとっては、何から何まで、全宇宙に存在する力がある、というもの全てとイエスとを一絡げに取りまとめて考えていたのです。パウロは彼らに対して、救い主イエスこそ彼らの人生の中核に存在するよう、元に戻すように務めたのです。
パウロの説得の方法は、説得しようとしている内容と同じく重要な点です。
イエスがユニーク、つまり唯一無二である、という主張は良く耳にします。残念ながら、そのように主張がされる際に、イエスキリストご自身とはそぐわないような傲慢な方法でなされることがしばしばあります。暴力沙汰でそのような主張をすることすら時にはあるのです。
しかし、パウロは、キリストは全ての創造と救いの中心であり、誰も匹敵するものがない、と強く揺るがない確信に満ちていますが、傲慢にはなりません。もちろん暴力に訴えることもありません。深く根づいているへりくだりの態度から主張を論じているのです。これほどまでない愛情から出てくるエネルギーによってこの書簡を書いています。クリスチャンにとって、パウロの良さを改めて痛感させられます。パウロとは、鋭く、決して妥協しない知性と、暖かく素晴らしい親切な心とが見事につなぎ合わされている人なのです。
Hardly anyone who hears the full story of Jesus and learns the true facts of his life and teaching, crucifixion and resurrection, walks away with a shrug of the shoulders, dismissing him as unimportant. People ignorant of the story or misinformed about it, of course, regularly dismiss him. But with few exceptions, the others know instinctively that they are dealing with a most remarkable greatness.
But it is quite common for those who consider him truly important to include others who seem to be equally important in his company—Buddha, Moses, Socrates, and Muhammad for a historical start, along with some personal favorites. For these people, Jesus is important, but not central; his prestige is considerable, but he is not preeminent.
The Christians in the town of Colosse, or at least some of them, seem to have been taking this line. For them, cosmic forces of one sort or another were getting equal billing with Jesus. Paul writes to them in an attempt to restore Jesus, the Messiah, to the center of their lives.
The way he makes his argument is as significant as the argument he makes.
Claims for the uniqueness of Jesus are common enough. But such claims about Jesus are frequently made with an arrogance that is completely incompatible with Jesus himself. Sometimes the claims are enforced with violence.
But Paul, although unswervingly confident in the conviction that Christ occupies the center of creation and salvation without peers, is not arrogant. And he is certainly not violent. He argues from a position of rooted humility. He writes with the energies of most considerate love. He exhibits again what Christians have come to appreciate so much in Paul—the wedding of a brilliant and uncompromising intellect with a heart that is warmly and wonderfully kind.
Introduction to the book of Colossians, The Message, Eugene Peterson