「詩篇」は全150篇あり、ジャンル的に言えば詩歌に当たります。今日はその中の詩篇69篇を取り上げます。すぐに気付かされるのはこの歌はとても感情の激しい、緊張感のある、そして苦しみ、嘆き、喜び、そういう起伏を感じさせられるものだ、ということです。ぜひ時間をかけて想いを巡らせて、イマジネーションを働かせながら読んで見て下さいね。

私にとってとても助けになったのは、ティム・ケラー師の「イエスの歌・The Songs of Jesus」というディボーションの本です。詩篇69篇が7つのセクションに分けられていて(つまり一週間がかりで)、それぞれに彼の短い解説と、彼の祈りのお手本が捧げられているからです。それをぜひご紹介したいです。彼の解説を全ては載せられませんが、解説に付けられた副題、つまりそのセクションのテーマですね、それと彼の書いた祈りを日本語に(いつもの通り私の意訳ですが)してあります。聖書は日本語のリビングバイブルを使いました。聖書をお持ちでしたら自分の聖書を使って読んで見てはどうでしょうか。

 

1〜6節
ああ神よ、私をお救いください。洪水で水が氾濫し、私は泥の中にじわじわと沈み込んでいきます。
泣き疲れて、のどは渇き、声はかれ果てました。
神の助けを待ちわびて、目も赤くなりはれ上がりました。
理由なく私を憎む者があとを絶ちません。
何も悪いことをしていない私を殺そうと謀る者たちはみな、有力者ばかりです。
私は身に覚えがないのに、彼らは報復しようといきり立っています。
ああ神よ。あなたは、私の愚かさをよくご存じです。私の罪も一つ残らず覚えておられます。
ああ主よ。この私の存在が、あなたを信頼しようとする人々にとって、つまずきとなりませんように。
混乱を引き起こす原因となりませんように。
故なく憎まれるとき
「主よ、人が窮地に追いやられのをみると、私は自分が彼らの悲しみに飲み込まれそうに思えて怖くなります。しかし、あなたが私を愛してくれた時にはそれは永遠に私に関わってくれるという愛でした。そして無限の悲しみをあなたに与えたのでした。どうかあなたの恵みにおいて私を強めてください。そうすれば私の周りにいる者達に私が心を開き、助けの手をすぐに伸ばせるようになりますから。アーメン。」
Hated Without Reason
“Lord, when people fall into trouble, I see myself afraid to get involved lest I be swallowed by their grief. But when you loved me you got eternally involved, and it cost you infinite grief. Strengthen me with your grace so that I can be available and open to the needs of others around me. Amen”
7〜12節
私はあなたのためにのろわれ、辱められているからです。
血を分けた実の兄弟でさえ、赤の他人のようにしかふるまってくれません。
神のことを熱心に思うあまり、心は焼け尽きそうです。
私があなたを弁護したため、敵は、あなたに対してするように、私に侮辱のことばを投げつけてきます。
私が主の前で嘆き悲しみ、断食すると、彼らは私をあざ笑い、さげすみます。
私が罪を恥じて謙遜になり、悲しんで荒布をまとうと、彼らは私を笑いものにします。
町の人は私のうわさを立て、私の名は酔っぱらいの歌になりました。
誤解された
「主よ、信仰に厚く生きれば必ず迫害を受けるのだ、とあなたは諭しました。信仰が故に軋轢を受けたくない、などと臆病に感じないようにどうか助けて下さい。同時に、私が独善に陥ったり、蔑みという侮蔑を受けるに値する偽善に陥らないように助けてください。アーメン。」
Misunderstood
“Lord, you have said that anyone who lives a godly life will be persecuted. Don’t let me be so cowardly that I never take any heat for my faith. But don’t let me actually fall into the self-righteousness and hypocrisy that merits disdain. Amen.”
13〜18節
しかし、私は祈りの手を下ろしません。神が聞いてくださる時がきたからです。
あなたは、愛と恵みを十分に用意して、待っていてくださいます。
どうか祈りに答え、約束どおり救ってください。この泥沼から引き上げてください。このまま沈ませないでください。
憎しみを抱く者どもから救い出し、深い水から引き上げてください。
洪水が私の背丈を越え、海にのみ込まれたりしませんように。私を脅かす穴から救ってください。
ああ主よ、私の祈りに答えてください。
あなたの恵みはすばらしく、あわれみにあふれています。
どうかお姿を隠さないでください。
早く来て、苦しみのどん底から救ってください。主よ、駆けつけて来て、救い出してください。敵の手から守ってください。
神様のタイミング
「主よ、あなたはアブラハム、ヨセフ、そしてダビデの祈りに対して何十年も答えず沈黙されていました。答えが与えらるのが遅らされたのは、完全なる知恵に基づくがゆえになんですね。でも、あなたを信頼し、あなたの公正な裁断と、あなたの善きタイミングを待つのは、私には本当に辛いことです。どうか助けてください。アーメン。」
God’s Timing
“Lord, you let Abraham, Joseph, and David wait decades before you answered their prayers, and your delays were always perfect in their wisdom. Help me as – I must admit – I struggle mightily to trust and rest in your judgment and your timing. Amen.”
19〜21節
彼らが私のうわさをし、名誉を傷つけているのを、ご存じのはずです。
彼ら一人一人がどんなことばを口にしたか、覚えておられるはずです。
彼らにさげすまれて、私の心は傷つきました。心はふさぎ込んでしまいました。
一人でも、同情して慰めのことばをかけてくれる人がいてくれたらと思います。
彼らは、私の食べ物に毒を盛り、のどの渇きを訴えると私に酢をつぎました。
答えられない祈り
「主よ、私のせいで祈りに答えが与えられないことを、あなたは痛みを覚えつつ、心を砕いて耐えていらっしゃるのであるなら、私もあなたが私の祈りになぜか答えてくださらないことに対して忍耐強く待ちます。十字架を見ればあなたが私を愛していることははっきりしています。あなたが私に耳を傾けてくださっていることを心で理解します。もし私にあなたの知恵があれば、こう扱われたい、というまさしくその通りにあなたがして下さるんだ、と信頼します。アーメン。」
Unanswered Prayer
“Lord, if you patiently bore the pain of unanswered prayer for my sake, then I can be patient with what seems to be unanswered prayer for your sake. The cross proves that you love me and so I can trust that you are listening to me and handling my request the way I would want if I had your wisdom. Amen.”
22〜28節
彼らの喜びはなえて、不安にとらわれますように。
暗闇に閉じ込められて目が見えなくなり、骨と皮ばかりに衰えますように。
御怒りの火で、彼らを焼き尽くしてください。
その住まいは廃屋とし、荒れるにまかせてください。
彼らは、神が懲らしめた者を迫害し、神が切りつけた者の傷を見てあざけったからです。
彼らの罪は高く積もっています。どうか、見のがさないでください。
この者どもの名を、いのちの書から抹殺してください。
正しい人と同じように生きる権利を、はく奪してください。
敵を罪に定めてください
「主よ、私は再び悟りました。私は正義を追い求めるのをやめてはならないと。しかし、正義を追求する時には、復讐心や悪意をこれっぽっちも持っていてはならない、とも教えて下さいましたね。どうか私や私の愛する人に対して悪を行った者を私が許せるように助けて下さい。イエス様にあって赦されざるべき私ですら赦されているのですから。それでも、力の限り私が悪を正せるようにも勇気と熱意を失わないようにどうか助けてください。アーメン。」
Charge Them With Crime
“Lord, again I am reminded that I must neither abandon seeking justice nor do it with an ounce of vengefulness or ill will. Help me forgive anyone who wrongs me or those I care about, remembering my own undeserved pardon in Jesus. Yet let me still have the courage and passion necessary to right wrongs where I can. Amen.”
29〜33節
しかし、ああ神よ。この私は、貧困と苦痛から救い上げてくださいますように。
そうすれば、感謝を込めてあなたをほめたたえることができます。
それは、いけにえの雄牛や若い雄牛以上に、主に喜ばれるでしょう。
謙遜な人々は神の助けを体験します。彼らはとても喜びます。
神を探し求める人は、喜びに満たされるからです。
主は困っている人々の叫びを聞き届けてくださり、拒んだりはなさいません。
悲しみを無駄にしないで
「主よ、悲しみや苦しみはただ単に耐え忍んでばかりいるものではない、と教えてください。それを通して培って行けるものがあることを諭して下さい。やりたくない、と思える時でもあなたに、また、人に仕えることこそが最高の愛の行いであるからです。忍耐強く苦しみを耐えるその特権を感謝できるようにも、私の目を開いください。アーメン。」
Don’t Waste Your Sorrows
“Lord, help me to see trouble and suffering as things not merely to be endured but to be invested. Serving you and serving others when I don’t want to at all is the greatest act of love possible. Help me to see and thank you for the privilege of suffering patiently. Amen.”
34〜36節
天と地よ、主をほめたたえなさい。海も、その中に生きるものも、神をほめたたえなさい。
神はエルサレムを救い、ユダの町々を再建してくださるからです。
神の国民はそこに住み、決して追い出されることはありません。
彼らの子孫はその地を受け継ぎ、神を愛する人々は平穏無事に暮らします。
未来を現在に生かそう
「主よ、あなたを誉め称えることが出来るように導いて下さい。あなたへの敬意を表せる唯一の方法ですから。そうすることで私の人生も満ちるのです。『それ故、我のなせる最高の技にてあなたを崇めます。心を尽くした最善をあなたにお捧げします。(ジョージ・ハーバート)』アーメン。」
Using the Future on the Present
“Lord, I must learn to praise you – it is the only thing that will honour you and will fulfill me. “Therefore with my utmost art I will sing thee; and the cream of all my heart, I will bring thee.(George Herbert, Praise(2))” Amen.”